大企業にも決して負けない
「人事考課制度」

 制度やルールというものは、ゼロから新しくつくるのも大変ですが、それ以上に難しいのは、つくった制度やルールを全社的に浸透・定着させること。何十年もの歴史を持つ会社でも、従業員の多くが「就業規則を見たことがない」という話はよくあるようです。

 そういう点で、I&Lソフトウェアはかなり頑張っている会社です。

 私はこの会社に来る前、複数の会社で人事労務の仕事に就いてきました。会社の株式公開も経験しています。そういう私の目から見ても、I&Lソフトウェアは、社内の制度やルールの整備にとても熱心です。特に「人事考課制度」は、しっかり運用されているという点で、大企業にも負けない内容を持っている――と感じています。

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時間と労力をかけて練り上げてきた
公平公正な人事考課制度

 今の人事考課制度は、社長の吉岡が中心となって、策定したものです。社外の労務コンサルタントの手を借りたわけではありません。試行錯誤しながら、時間と労力をかけて自ら練り上げてきました。

 吉岡に尋ねたことがあります。なぜ、評価制度づくりにここまで時間と労力をかける必要があるのか、と。

 「『人がすべて』のビジネスなんだから、社員にとって納得感の高いきちんとした評価制度をつくるのは当たり前だろ」と吉岡は言いました。

 「評価の基準が不明瞭だと、自己評価と会社の評価が食い違うことが必ず起こる。会社の評価に納得がいかず、評価に不満を持った社員は当然やる気をなくすだろう。会社は本人のやる気を引き出そうとしてあれこれ言葉を尽くすが、明確な基準がないから、情に訴えるしかなくなる――とにかく頑張れ」と。

 これじゃあ、モチベーションは上がりませんよね。

 評価基準を明確にして、公平公正な人事考課を行える職場を築くことが、みんなのモチベーションを上げる早道。きちんとした評価制度づくりという時間と労力のかかることに手を抜かないことが、社員の人たちの会社評価に対する納得感に繋がっているのだと思います。

I&Lガイドライン実現アンケート結果

当社の人事考課はオープンで公平で公正だと思いますか?

昇進したい人は手を上げる
徹底して、本人に「主体性」を求める

 I&Lソフトウェアは、社員ひとりひとりに「主体性」を求める会社です。昇進についても、それは徹底しています。

 チームを束ねるプロジェクトリーダー職への昇進も、その大前提となるのは「本人が主体的に希望すること」。人の上に立つことを望まない人を、年功序列でポストに就けることはしていません。その逆に、自らポストを望む人には、年齢や社歴に関係なく昇進のチャンスがあります。

 当社では、社員等級制度を設けています。現在の仕組みでは、新入社員が1級で執行役員が7級。サブリーダー、リーダー、マネージャーといった役職に就くためには、年に1度の「昇級希望者面接」の場で、マネージャー陣たちを前に、自身の思いをきちんと伝える必要があります。

 この面接の場に臨む資格の第一は「本人が昇級を望むこと」。 もちろん、周囲の人たちが「そろそろ挑戦してみては?」と水を向けることもありますが、最終的には本人の意思次第。チームを預かる心の準備ができていない人に、無理やり重責を負わせることはありません。チームの未来を意欲的に語れる人なら、多少の経験不足は上司がカバーすれば済むこと。

 「昇級希望者面接」の存在も、I&Lソフトウェアの風土を端的に示しているように思います。

I&Lガイドライン実現アンケート結果

当社の給与・賞与は学歴・年齢・性別に依存しない実力・成果に基づいたシステムになっていると思いますか?

ビジネスの状況変化に対応するため
人事考課制度のブラッシュアップも怠りなく

 時間と労力をかけて緻密につくりあげた制度やルールを、形骸化させることなく運用し続けること。それができなければ、どんな制度やルールも意味がありません。

 ただ、変化の早い業界だけに、現在運用している人事考課制度の評価項目や評価視点が、いつの間にか、ビジネスの現場の実態に合わなくなってしまうことがあります。そこで必要になるのが、現在の人事考課制度の再評価とブラッシュアップ。少なくとも再評価は毎年実施する。

 これは「人がすべて」のビジネスだからこそ――ですね。

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H.M.

ブライダル事業を営む会社の総務部で人事労務関係の業務に携わり、ジャスダック証券取引所への株式上場を経験。その後IT会社の総務部を経て、2013年、I&Lに転職。
総務部を経て、2015年10月、“経営企画部”の立ち上げとともに異動。上場企業と同等レベルの経営管理体制を整備するため、各種制度、各種規則・規程類の整備に従事。