「本当に好きなこと」は、仕事にしなくていいんじゃね?

 IT業界をめざす人の多くが「ものづくりへの憧れ」を志望動機にあげますが、私もそのクチ。子どものころから不器用で図画工作は全然できない。なのにコンピュータを使えば、お絵描きもできるし、なんなら動画もつくれる。進学先に情報系を選んでプログラミングができるようになると、ゲーム制作にハマりました。動画サイトで私の作品をレビューしてくれる人が現れたりもして、プログラミングは私の自己承認欲求を満たしてくれました。
 これを職業にしたいと願うのは、自然な流れだったと思っています。
 でも、就職先にI&Lソフトウェアを選んだのは、「ゲーム開発のプロジェクトもあるから」ではありません。ぶっちゃけて言うと、内定を出してくれた会社のうち、お給料が良かったほうを選んだまで。
 ゲームづくりはライフワークですが、あくまで自分だけの楽しみ。大衆受けはしそうもないオリジナルキャラをつくったりするのが嬉しいのです。
 I&Lソフトウェアには他分野のプロジェクトがたくさんあるのだから、ゲームの仕事が回ってくる確率は、相対的にみれば高くないはず。それでいてライフワークにも活かせる高度な技術が学べて、お給料も満足レベル……となれば、言うことなし。
 業務命令で「ゲーム開発をやれ」と言われれば、拒否するつもりはありませんけど、ね。

“ツッコミどころ”は潰しておく。
それが“最上級”への近道?

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 技術研修で「きみがお客様の立場だったとして、その成果物で“満足”できる?」と言われて、正直、ピンとこないこともありました。「指摘された問題点はクリアできてるはずだ」「きちんと動作してバグも見当たらない」「これ以上どうしろっていうんだ」……毎日そう思っていましたが、「もっとできるはず」「改善点はまだあるはず」という観点で自分が書いたコードを見直すと、確かに見つかるわけです、さらに手を掛けるべきことが。
「もっともっと」と求め続ければキリがないのかもしれませんが、そういう姿勢を本気で貫いているのが、この会社です。
 今の私のレベルでできるのは、レビューに臨む前にしっかり確認して、ツッコまれそうなところを、あらかじめ潰しておくこと。この意識と習慣がしっかりと身につきました。
 それでも、必ずツッコまれるのですが……。

「論理vs.論理」
笑顔で議論できる人たち。

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 容赦ないツッコミと、品質向上への頑固なコダワリ。上から下まで全員がこうなのですが、不思議なくらいに皆さん穏やかです。笑顔で議論できる人たちといいますか……。
 ソフトウェア開発という仕事では、“正解”は必ずしもひとつではありません。たとえば、ある課題を解決する方法が2つ想定される場合、どちらを採るべきかで議論が起こり、膠着することもあるわけですが、感情を交えた物の言い方をする人を見たことがありません。あくまで「論理vs.論理」のぶつけ合い。
 そういう環境にいると、論理的思考に自然と馴染んでいくものです。私も以前よりはずっとロジカルになってきたような……あくまで自己評価ですが。

キツかった……の一言。
休憩室での傷の舐め合い。

 これについては、多くを語るつもりはありません。
 キツかった……の一言です。
 同時期入社の仲間の中には割と平気な顔をしていた者もいたけれど……休憩室で駄菓子をポリポリとやりながら雑談をすると、愚痴や嘆きが出るわ出るわ。傷の舐め合いです。
 それが救いでした。今となっては笑い話ですが。

ゼロからイチを生み出す
先輩がたの手書きコードに惚れ惚れ。

 今の配属先は、ほぼ完全リモートの業務環境です。出社するのは週1回。就活のときから「リモートワークっていいな」と思っていたので、この配属には大満足です。でも、リモートにこだわっているわけではありません。先輩がたの仕事ぶりを直に見ることのできる現場もいい。多くのプロジェクトが同時に走るうちの会社では、業務内容もワークスタイルもチームによってさまざま。今とは違う機会がいずれ巡ってくるはずです。
 現在の担当業務はローコード開発がメインですが、将来的には“生っぽい”プログラミングを手掛けることができれば、と思っています。つまり、昔ながらの手書きのコードづくり。
 先輩がたが書いたコードを見るたびに惚れ惚れとします。ゴリゴリの手書き。でも、それが実に美しい。ローコードは業界潮流というものではあるけれど、プログラマになった以上は、ゼロからイチを生み出す“ものづくり”がやっぱり憧れですから。
 そのお手本が100人以上いるのが、この会社です。