人材こそすべて
だから「新入社員研修」は、3年間

 ソフトウェア受託開発は、製造業などとは違って、大きな設備投資を必要としないビジネスです。この業界には昔から「紙と鉛筆があれば事足りる」なんて揶揄した言い方もあるほどで、これはもちろん100%の事実ではありませんが、一面の真理はついています。

 つまり、生産設備の性能ではなく、システムを設計する「人」、プログラムを作る「人」の能力によってのみ、ビジネスの成否が決まるという意味において。

 ソフトウェア開発は、どこまでいっても「人材こそすべて」。会社が成長し続けるためには、優れた人材を得なければなりません。成長可能性のある人材を見つけて採用し、手をかけて原石を磨き続けていくこと。だからこそ、I&Lソフトウェアでは、3ヶ月間の導入研修だけに留めず、配属後のフォローアップも含めて、入社後3年間を「新入社員研修期間」としています。

 入社後の3ヶ月間は、技術研修はもちろんのこと、それとは別に、I&Lアクシス研修(総務研修)、ビジネスマナーの社外セミナー、そして『7つの習慣』社外セミナーといった、様々な研修メニューを実施しています。

 また、入社1年後から3年後までの毎年1回(計3回)行っている「ネクストステージ研修」は、各人が1年かけて積み重ねてきた“プロフェッショナルとしての自分”を見つめなおす内容としています。

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技術だけでなく
プロとして必要な多岐にわたるスキルを生涯磨く

 エンジニアとして業務に必要な技術――テクニカルスキル――を身につけるのは当然のこと。それだけではなく、お客様からの信頼を得て、長期にわたり発展的な取引関係を構築していくためには、ビジネスパーソンとしての多岐にわたるスキル――プロジェクト管理、品質に対する意識、ヒューマンスキル、ビジネススキル――の習得が欠かせません。

 そこで、当社では、入社1年目から生涯にわたって、これらのスキルを各人のステージに応じて身につけられるよう、各種の階層別研修を実施しています。現実的には、社員1人あたりでは、毎年1つの研修を受講している感じでしょうか。

 実際に、ここまで各種の階層別研修を用意して、きちんと運用に乗せているソフトウェア開発会社は多くないと自負しています。

各種階層別研修の詳細

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コストと時間をかけるのは
生き残りをかけた「投資」だから

 なぜ、ここまで人材育成にコストと時間をかけるのか?――この業界を知る社外の識者などから、そう問われることがあります。

 正直言って、これからの日本のソフトウェア産業の先行きは決して明るくはありません。当社は目下も業績堅調ですが、長い目で見れば、安穏と構えていられない状況があります。

 というのは、「オフショア開発」といって、プログラミングをはじめとする下流工程の開発業務は、中国・ベトナムといった人件費の安い新興国にどんどんと流れているからです。

 ただプログラムを書くだけの仕事は、もはや国内の開発会社には回ってきません。オフショア開発を引き受けている新興国の開発会社は、技術力を上げていますし、受注する業務の幅も上流工程に拡げつつあります。

 下流工程を廉価なライバルが占めるなら、私たちは超上流工程、上流工程を押さえなければなりません。I&Lソフトウェアが「エンドユーザー直接取引」にこだわり続けている理由のひとつは、そこにあります。より上流の位置で当社が仕事をしていくためには、お客様の業務知識に精通している必要があります。そのために必要なことが、多岐にわたるスキル――プロジェクト管理、品質に対する意識、ヒューマンスキル、ビジネススキルの継続的な向上です。

 I&Lソフトウェアが、人づくりにコストと時間をかけるその理由は、遠くない未来を見据えた、生き残りのための「投資」だからです。

I&Lガイドライン実現アンケート結果

毎年、自身の目標を決定する前に、自身の強み/弱み/その対策/3年後どの様な仕事をしたいかなどを考えることは目標設定のためのツールとして役立っていると思いますか?

当社では人が人を育てていく文化が全社的に浸透していると思いますか?

自身で「1年間の目標」を設定し
その達成に向けて取り組む人材育成制度

 設立当初からある「人材育成制度」。

 これは、社員一人一人が自己申告で目標設定するスキルアップのプログラムです。

 社員の75%ほどがIT関連資格の取得を「目標」にして、この制度を利用していますが、幅広いスキルの習得を目的としているので、「目標」は必ずしも業務スキルに直結していなくても可。中には「難解書籍の読破」のような、目の前の業務には一見関係なさそうなテーマを掲げて認められた人もいます。

 掲げた「目標」を達成すると、冬のボーナスが0.2ヶ月分加算。会社が定める業務関連の資格を「目標」とした場合は、資格取得の祝い金も支給されます。外部講習の受講など費用を要する際は1人年間10万円まで補助が出ます。

 こうした制度も、一人一人に幅広く深いスキルを身につけてもらうための「意識付け」の施策です。この意識付けに応えてくれる人材が、I&Lソフトウェアのこれからを支え、ひいては、日本のソフトウェア産業の未来を拓くのだと信じています。

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T.N.

1981年生まれ。板橋技術専門校情報工学科卒。
銀行系システム保守開発を2年ほど経験した後、2008年、I&Lソフトウェアに転職。
基礎から学びなおし、エンジニア、プロジェクトリーダーとして14年間、
デジタルマーケティング系システム、保険会社向け設計システムなどの開発に従事。
2022年より“人材育成部”に異動。現在に至る。